中医学由来の健康豆知識をお届けしながら、中国語の文法や単語を合わせて勉強していく
中国養生文化シリーズ
第7回の今日は「春の飲食 甘は多めに、酸は少なめに」です。
春の飲食 甘は多めに、酸は少なめに

春は肝の機能が盛んになります。
酸味のある食品を多く食べると
肝気(※中医用語で肋骨痛、嘔吐、下痢などを指す)も盛んになり
胃腸の消化吸収低下を招き、
健康に影響を及ぼします。
従って、酸味のある食品を控え、
肝気が盛んになりすぎないようにしましょう。
春は甘みのある食品を食べて
消化器系の気を健やかに保ちましょう。
例えばナツメですと、性味(※中医用語で属性と気のこと)のバランスがよく、
血脈を滋養し、消化器系を健やかに保ちます。
ナツメはそのまま食べても良いですし、
おかゆや蒸しパン、ナツメごはんにしても良いです。
【中国語原文】
chūnjì yǐnshí duō gān shǎo suān
春季 饮食 多 甘 少 酸
chūntiān gān de gōngnéng wàngshèng
春天,肝 的 功能 旺盛,
rúguǒ zài duō chī xiē suānwèi shípǐn
如果 再 多 吃 些 酸味 食品,
gānqì gèngjiā wàngshèng
肝气 更加 旺盛,
huì dǎozhì píwèi de xiāohuà xīshōu gōngnéng xiàjiàng
会 导致 脾胃 的 消化、吸收 功能 下降,
yǐngxiǎng réntǐ jiànkāng
影响 人体 健康。
yīncǐ yào shǎo chī suānwèi shípǐn
因此 要 少 吃 酸味 食品,
yǐ fáng gānqì guòshèng
以 防 肝气 过盛。
chūnjì yí chī tiánpǐn shíwù
春季 宜 吃 甜品 食物,
yǐ jiàn píwèi zhī qì
以 健 脾胃 之 气,
rú dàzǎo xìngwèi pínghé
如 大枣,性味 平和,
kěyǐ zīyǎng xuèmài qiángjiàn píwèi
可以 滋养 血脉,强健 脾胃,
jí kě shēng chī
即 可 生 吃,
yì kě zuò zǎozhōu zǎogāo yǐjí zǎomǐfàn
亦 可 做 枣粥,枣糕,以及 枣米饭。
下降、降下、上昇、増長… 類義語と反義語を覚えよう
【気になる単語】
下降 xiàjiàng
- 降下する
- 〈地〉沈下する
- (程度が)下がる.(数量が)減る
日本語で「下がる」という意味を2つの漢字で表す場合、
低下、降下、減退、下落、低減、減少etc...
たくさんの言葉がありますね。
今日の本文では「低下する」と訳しましたが、中国語でも同様に、モノの程度が高いところから低いところへ移ることを指すのにいろんな言い方があります。
類義語
降低(jiàngdī)、下跌(xiàdiē)、降落(jiàngluò)、下落(xiàluò)、低落(dīluò) etc...
検定試験などでは類義語や反義語を問う問題が出てきますので、時間に余裕がある人は、単語を調べるときに少なくとも1~2つの類義語、反義語を書き留めておきましょう。
なお、“下降”の反義語はこちらです。
反義語
增长(zēngzhǎng)、上涨(shàngzhǎng)、起飞(qǐ fēi)、上升(shàngshēng) etc...
私が仕事で使う頻度が高いのは、
“下降”と反対語の“上升”
Ex)達成率が上がった(下がった) 达标率有所上升(下降)
です。
また、“下降”と“降低” の使い分けを覚えておくと良いです。
価格が下がる 价格下降
コストを下げる 降低成本
この言い方を覚えておくと、下降と降低の使い分けが理解しやすいですかね?
Ex)降低视力下降 (視力の低下を抑える)
また、値動きを示す“上涨”と“下跌” も仕事で良く使っています。
Ex)物価の値上がり 物价上涨
掘り下げすぎると覚えなきゃいけない単語で溢れてしまうので、適当なところで止めることもお忘れなく。
因果関係を表す言葉
【試験に出る表現】
因此 yīncǐ
これによって、従って、なので、それゆえに
前の文の内容を受けて、「従って~である」という因果関係を示す言葉です。
由于A,因此B Aだから、Bである
よりメジャーな言い方としては、こちらの方を頻繁に聞きますね。
因为A, 所以B Aだから、Bである
もう1つ、第一回でもチラッと紹介しているこちらの言い方↓
之所以B,是因为A Bである、(なぜなら)それはAだから。
両者は、強調している内容が違います。
例えば、
①因为我饿了,所以我要吃饭。
②我之所以要吃饭,是因为我饿了。
どちらもお腹が空いてるからご飯が食べたいのですが、
①はご飯が食べたいこと、
②はお腹が空いていることを強調しています。

日常では①の言い方が多いですね。
ネイティブでも間違える!? “即”と“既”
【更にレベルアップ!】
即可~亦可
~すればよい、~もまたよい (転じて) ~ても~てもよい
本文では、生食でもおかゆにして食べても良いという意味で、
即可生吃,亦可做粥
という言い方で出てきました。
中級以上の方でしたら、あれ?“既可生吃,又可做粥”じゃないの?と思った方もいらっしゃると思います。
はい、大正解です!
“既可以A,又可以B” (Aしても、Bしてもよい)
実は、文法的に接続詞として「~ても」の意味があるのは“既”の方で、“即可~亦可”は接続表現ではありません。
“即可A,亦可B”は単に、「Aすればよい、Bもまたよい」と述べているだけで、AとBを接続して2つの可能性を示す意図はありません。
一方で“既可以A,又可以B”の方は、AもBも共に可能であることを表現します。
ネイティブの一部に“即可…又可…”と使う人がいるそうですが、私が読んだ文章では、これは誤用であると注記されていました。皆さまもご認識下さい。
【即】 jí
- 就任する.就く
- すぐに.直ちに
- すなわち~である
- たとえ~でも
- ~であるばかりか(~でもある)
【既】 jì
- すでに
- ~でもあり~でもある
- ~したからには.~した以上
中医が言う甘いものとは?
以前も書きましたが、中医学でいう「甘いもの」とは砂糖を使ったスイーツではなく、穀物や植物の実などの甘みを有するモノのことを言います。
では、春に控えたい酸っぱい食品にはどのようなモノがあるのでしょうか?
答えは、みかん、サンザシ、トマト、お酢、ヨーグルトなどです。
皆さまの日々の健康と中国語の勉強に「中国養生シリーズ」をどうぞご活用くださいね。