中医学由来の健康豆知識をお届けしながら、中国語の文法や単語を合わせて勉強していく
中国養生文化シリーズ
第16回の今日は「夏の心(しん)の養生は涼しすぎに注意」です。
夏の心の養生は涼しすぎに注意

心(しん)の養生は夏がポイントになります。
『黄帝内経』にはこう書かれています。
心は生命の根本であり、陽の中の陽として、夏の気に属する。
心は夏を司ります。
心と夏の気は相通じます。
夏は火に属し、
心は陽の中の陽として、火に属します。
2つの火が相まって、
必然的に精神を揺るがし、
心の負担を重くします。
ですから、猛暑でもむやみに涼を取らないことです。
夏至のその日から、地では寒が生まれ、
地球は冷気を吸い込み、地心に入り込みます。
人の体も同じで、
その日から中焦(お腹の上の部分)の力が弱まりますので、
冷たいものを食べ過ぎると
胃腸の不具合が現れるでしょう。
【中国語原文】
xiàjì yǎngxīn shǎo tān liáng
夏季 养心 少 贪 凉
yǎngxīn yǐ xiàtiān wéi zhòngdiǎn
养心 以 夏天 为 重点。
huángdì nèijìng zǎi
《黄帝 内径》载:
xīnzhě shēngmìng zhī běn wéi yángzhōngzhīyáng yīngyú xiàqì
心者 生命 之 本 . . . 为 阳中之阳,应于 夏气。
xīn zhǔ xià
心 主 夏。
xīn yǔ xiàqì xiāngtōngyìng
心 与 夏气 相通应。
xiàtiān shǔ huǒ
夏天 属 火,
xīn wéi yángzhōngzhīyáng shǔ huǒ
心 为 阳中之阳,属 火,
liǎnghuǒ xiāngféng
两火 相逢,
shìbì rǎodòng xīnshén
势必 扰动 心神,
jiāzhòng xīn de fùdān
加重 心 的 负担。
suǒyǐ zài lièxià zhì bù tān liáng
所以,在 烈夏 至 不 贪 凉,
xià zhì nà tiān dì hán shǐ shēng
夏至 那天,地寒 始生,
dìqiú xīrù lěngqì rù dìxīn
地球 吸入 冷气 入 地心,
réntǐ yě yīyàng
人体 也 一样,
nàtiān qǐ zhōngjiāo de liànhuà nénglì jiǎnruò
那天 起 中焦 的 炼化 能力 减弱,
chī liáng tài duō
吃 凉 太 多,
jiù huì chūxiàn chángwèi wèntí
就 会 出现 肠胃 问题。
訳が難しかった「不贪凉」
【気になる単語】
主題と本文の中盤に出てくる“不贪凉”は、ちょっと訳が難しいと感じました。
この“贪”という漢字、単独では以下のような意味があります。
贪 tān
1. 賄賂を取る.金を欲しがる
2. 欲張る.むさぼる.ふける
3. ねらう.追求する
本文では頭に“不”を付けてこれを否定しているのですが、辞書などで参考となる日本語訳が見つからず、訳出しに困りました。
前後の流れを踏まえて「むやみに~しない」と訳しましたが、皆さんだったら、どう訳しますか?
二声の“为”に慣れましたか?
【試験に出る表現】
为 wéi/wèi
wéi
1. なす.する.行う
2. ~と見なす.~とする
3. ~に変わる.~になる
4. ~である
wèi
1. ~のために
2. ~が原因で.~のせいで
“为什么(なぜ、どうして)”でよく使う“为”ですが、日本語の漢字では「為」と書きます。
日本語でも「~のため(為)に」、「~となす(為す)」と書くので覚えやすいと思いますが、意味によって発音が異なるので注意しましょう。
多音字 “载”
【更にレベルアップ!】
载 zài/zǎi
zǎi
1. 年
2. 記載する.書き記す
zài
1. (荷台に)のせる.積む
2. (道路に)いっぱいの.満ちる
「記載する」の場合は三声、荷物に関わる場合は四声です。

今日の本文は「記載されている」の意味で使われているので三声で読みますね。
冷たいモノの摂りすぎに注意
今日の本文では心の養生が取り上げられています。
中医学では、いくら外が暑いからと言って、「寒」の食品を摂りすぎると胃腸を悪くすると考えられています。
私は長年中国で生活していますが、こちらの生活に慣れると、日本の食生活や生活習慣が如何に冷たいものを多く摂取しているかに気づかされます。
レストランで出されるお冷などはその典型です。

日本では冬でも冷たいお水が出てくることがありますが、中医学の観点から見るとあまり健康的な習慣ではありません。
日本在住の漢方の先生たちが発信しているSNSの情報を見ても、冷たいものの摂取は特に推奨されてませんので、皆さまもお気をつけ下さい。
皆さまの日々の健康と中国語の勉強に【中国養生文化シリーズ】をどうぞご活用くださいね。