中医学由来の健康豆知識をお届けしながら、中国語の文法や単語を合わせて勉強していく
中国養生文化シリーズ
第3回の今日は「心の平穏を保ちましょう」です。
心の平穏を保ちましょう

亥の刻は寝る時間または寝る準備をする時間です。
この時間は心の安静を保ちましょう。
怒らず、狂喜せず、大悲せず。
夜の11時になっても心が落ち着いていないと、
それは睡眠に影響し、
翌日は気持ちが振るわないでしょう。
【中国語原文】
bǎochí xīnjìng pínghé
保持 心境 平和
hàishí shì shuìjiào huòzhě zhǔnbèi shuìjiào de shíhòu le
亥时 是 睡觉 或者 准备 睡觉 的 时候 了,
cǐkè yào bǎochí xīnjìng píngjìng
此刻 要 保持 心境 平静。
bù shēngqì bù kuángxǐ bù dàbēi
不 生气,不 狂喜,不 大悲。
rúguǒ qíngxù bōdòng dào èrshísān diǎn hái méi jiéshù
如果 情绪 波动 到 23点 还 没 结束,
nàme jiù huì yǐngxiǎng shuìmián
那么 就 会 影响 睡眠,
dìèrtiān de jīngshén yīdìng wěimǐbùzhèn
第二天 的 精神 一定 萎靡不振。
保持・維持・堅持の違いは?
【気になる単語】
保持 bǎochí
保つ.維持する.保持する.キープする
“保持”は日常生活でも仕事でもよく使う単語で、ある状態を保っておくことを意味します。
私が日常この言葉を訳すときは、「保持=維持する」をベースに、前後の文脈に応じて「保つ」、「キープする」と言い換えます。
なお、中国語には“维持”という単語があり、同じく維持することを指します。
维持 wéichí
維持する.保つ.支える.キープする
両者には若干の違いがあります。
簡単に言えば、“保持”は良い方向に維持したい物事に対して使い、“维持”は悪い方向に向かわせたくないものの状態を保ちたいときに使います。
用例で説明するとこうなります。
保持 : 保持安静 保持稳定 保持联系
维持 : 维持秩序 维持生活
なので、維持したいことを表現する時は、その内容に応じて“保持”と“维持”を使い分けましょう。
また、中国語にはもう1つ、維持することを示す単語があります。
坚持 jiānchí
1. 頑張る.堅持する.固執する.(主張などを)貫く.やり抜く.持ち続ける.固持する
2. 持ちこたえる.こらえる.がんばり続ける
日本語では堅持するとはあまり言いませんが、中国では党関連文書をはじめとして比較的よく使う言葉で、確固たる気持ちで維持し続けることを表現しています。

坚持不懈(jiānchíbùxiè/たゆまずやり遂げる)もよく見かけますね。
日常会話でよく使う「如果」
【試験に出る表現】
如果 rúguǒ
1. もしも.もし~ならば
2. ~である以上
試験だけでなく日常会話にもよく出てくる表現で、後ろに“~的话”を付けることも多いです。
Ex1) 如果可以的话,我想要一个。 もし良かったら1つ欲しいです。
こんな表現、使えたらいいですね↓
Ex2) 如果还能见面就好了。 また会えたらいいね。
「就」が使いこなせれば一人前!
【更にレベルアップ!】
就 jiù
1. すぐに.~(したら)すぐに
2. とっくに.すでに.もう
3. 他でもなく.絶対に
4. ~ついて.~に基づいて
〈例〉就~而言=~について言えば
5. ただ.~だけ.~しかない
6. ~であるなら~となる(~する)
7. たとえ~でも.仮に~だとしても
8. 近づく.近寄る
9. 従事する.はじめる.就く
10. 成し遂げる.完成する.できあがる
以前、虚詞のマスターが中国語ネイティブに近づく上での鍵だとお話しました。
虚詞の中でも、この“就”が自由に操れるようになるにはそれなりの訓練で語感を鍛える必要があります。
上のEx2)の文にも“就”が入っていますが、これが入れられるか入れられないかが中級レベルと上級レベルの差かも知れません。
語感の訓練には音読が極めて有効です。
初級レベルの方はもちろん、中級以上の方も音読練習は大事ですよ!
亥の刻って何時?
今日の本文に「亥の刻は寝る時間です、23時までに心を落ち着かせておきましょう」と書かれていましたが、亥の刻は本来何時頃のことを言うのかご存知ですか?
正解は、夜22時の前後2時間、つまり21時~23時頃のことです。
中国では、時間表現に干支を用いていた時代があり、1日24時間を12に分けて子~亥で表していました(“十二时辰”と言います)。

午前零時を中心にその前後2時間を子の刻とし、以降、2時間ごとに干支を当てはめて、最後は夜22時の前後2時間を亥の刻としていました。
おもしろいのは午の刻で、実は現代の日本語、中国語にまだその名残があります。
日本語で、「午前・午後」という言い方がありますよね。
中国語では“上午、下午”と言いますが、これは午の刻から来た言い方です。
また、日本語の「正午」はお昼の12時を指しますが、これは午の刻(11時~13時)の真ん中だからですね。
へぇ、そうだったんだ!

当シリーズでは他にも「○の刻」の養生がありますので、併せてご参考下さいね。
ところで、話を戻して、亥の刻の睡眠準備についてですが、皆さんは夜の22時頃は普段何をしていらっしゃいますか?
本文では「23時までに心を落ち着かせて~」とありますが、今の私たちの生活での亥の刻では、寝る準備どころか残業で会社に残っていたり、友人や同僚との飲み会で盛り上がっている時間だったりすることが少なくありません。
もし体調不良や疲労を感じていたら、中国に伝わる養生文化を参考にして、自分のカラダに意識を向けてみましょう。
ある中医の先生によると、体調が優れないときはびっくりするほど早く寝るのがカラダの養生に良いとのことです。
皆さまの日々の健康と中国語の勉強に「中国養生文化シリーズ」をどうぞご活用くださいね。