中医学由来の健康豆知識をお届けしながら、中国語の文法や単語を合わせて勉強していく
中国養生文化シリーズ
123
第10回の今日は「朝食はしっかり食べよう」です。
朝食はしっかり食べよう

朝食は種類や量を豊かにすべきです。
朝ごはんはたくさん食べても太ることはありません。
なぜなら、9時になると
脾が動き始めるからです。
脾は食べ物を精力や血にして、
ヒトの五臓六腑に送り込みます。
「脾は消化を司り、脾は血を包括する」
脾はヒトの消化、吸収、排泄の総統括であり、
ヒトの血液を統率するところなのです。
【中国語原文】
zǎocān yào chīhǎo
早餐 要 吃好
zǎocān wǒmen yīdìng yào chī de fēngfù xiē
早餐 我们 一定 要 吃得 丰富 些,
zǎofàn chīde zài duō yě búhuì fāpàng
早饭 吃得 再 多,也 不会 发胖。
yīnwèi dàole 9 diǎn
因为 到了 9点,
pí jiù kāishǐ yùnhuà le
脾 就 开始 运化 了,
pí kěyǐ bǎ shíwù biànchéng jīngxuè
脾 可以 把 食物 变成 精血,
shūrù dào rén de wǔzāngliùfǔ zhōng qù
输入 到 人 的 五脏六腑 中 去。
pí zhǔ yùnhuà pí tǒng xuè
“ 脾 主 运化,脾 统 血”
pí shì réntǐ xiāohuà xīshōu páixiè de zǒngdiàodù
脾 是 人体 消化 吸收 排泄 的 总 调度,
shì réntǐ xuèyè de zǒnglǐng
是 人体 血液 的 总领。
「朝食」と「朝ごはん」の使い分け
【気になる単語】
早餐 zǎocān
早饭 zǎofàn
どちらも「朝食、朝ごはん」の意味で大きな違いはありません。
日本語では、少し改まった場では「朝食」を、普段の会話では「朝ごはん」を使うことが多いと思いますが、中国語も同様に、“早餐”と“早饭”を使い分けています。
つまり、
朝食 = 早餐
朝ごはん = 早饭
と覚えておけば大丈夫です。
本文の訳語でもそのように訳しました。
上級者やネイティブでも間違える「的」と「得」と「地」
【試験に出る表現】
得 de/dé/děi
・de (補語を導く)~するのが~だ
dé
1. 得る.手に入れる.獲得する
2. できあがる.完成する
3. (制止)もういい.よし
děi
1. ~ねばならない.~する必要がある
2. 要する.かかる.いる.必要
3. きっと~だ
・的 de ~の(限定.修飾に用いる)
・地 de (他の語句の後ろに用いて動詞や形容詞の修飾語をつくる)~に
どれも言葉を修飾するときに前後を繋げる役目を果たす助詞です。
今日の本文では「得」と「的」が出ています。
突然ですが、こちらの問題に自信を持って回答できる人はどれくらいいらっしゃるでしょうか?

実はこちら、中国の現役小学生、中学生でも多くの生徒が間違えてしまう問題なんだそうです。
文法として
名詞を修飾するものは「的」を使う
動詞や形容詞の後に置いて様子や程度を表す時は「得」を使う
動詞を修飾して動作の状態や程度を表す時は「地」を使う
と言うのをしっかり理解した上で、下線部前後の修飾関係を正しく判断しないと回答できない問題です。
答えは、
① 的 ② 得 ③ 地
ですが、皆さん、正しく答えられましたか?
①の場合、“快乐”なのはママ、つまり名詞を修飾しているので「的」を使います。これは初級の方でも比較的判断しやすいと思います。
②は、ママが“快乐”なのではなく、飛び跳ねてる動作の様子が普通に飛び跳ねているのではなくて“快乐”な感じで飛び跳ねているので様子を表現していると判断して「得」を使います。
③はママがどのように跳ねているか、この場合では、頑張って跳ねている、つまり動詞そのものを修飾していると判断できるので「地」を使います。
とは言え、こんな説明では、「得」と「地」の違いが理解しにくいかも知れませんね。
「得」も「地」も程度を表す時に使う助詞なので間違えやすいのですが、
「得」の場合は、A+得+Bで、Aの結果や様子がBで表現されていること
「地」の場合は、副詞+地+動詞 で後ろには必ず動詞が来ること
を柱に、消去法で判断していくと答えが導かれると思います。
ちなみに私の場合は、ざっと訳してみて「どれくらい」なのか、それとも「どのように」なのかを見て判断しています。

「どれくらい」の時は「得」を、「どのように」の時は「地」を選べば良いですよ♪
訳が難しかった「運化」
【更にレベルアップ!】
运化 yùnhuà
中日辞典に意味が載っていなくて、適語を探すのにちょっと時間がかかった単語です。
中国語の辞書ではこのように説明されていました。
1.运行变化。 (動きの変化)
2.迷信谓用法术变出。 (術を使って変身、変幻すること)
3.犹消化。亦比喻融会贯通。 (消化すること。完全に理解していることを表す)
今日の本文では、「消化する」と訳すのが適していると思ったのでそのように訳しましたが、全部「消化する」にするのもセンスがないと思い、「動き始める」とした箇所があります。
ここで1点、私の反省も踏まえて提言させて頂きたいのは、上級レベルになると漢字を見て何となく意味が掴めてしまうので、訳しでもしない限り流しがちになってしまうということです。
実はこれがものすごく危険です!
流すようになると、発音や意味がどんどん曖昧になってきて、中級→上級、上級→更にその上にレベルアップするのに、いつまでも壁を越えられない状態に陥ります。
ちょっとでも「ん!?」と思ったら立ち止まってきちんと調べることをオススメします。
特に通訳や翻訳家を目指す方はこういった細かな努力の積み重ねが力になりますので、手を抜かないで下さいね!
五臓六腑と時間の関係
中医の世界では、人のカラダと時間との関係をとても重視しています。
今日の本文では、
「脾は9時から動き出す」
とありましたが、こちらの対応表を見ても、巳の刻(午前9時)の対応経路が「脾」であることが判ります。

今後の養生文化シリーズでも、人体と時間に関わる養生のヒントがたくさん出てきますのでお楽しみに。
皆さまの日々の健康と中国語の勉強にどうぞ【中国養生文化シリーズ】をご活用くださいね。